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映画 『長いお別れ』
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    厚生労働省が2015年に発表した2012年時点(ちょっと古いデータですが)での患者数は約462万人、65才以上の約7人に1人いるといわれる認知症。そして団塊世代が75才以上を迎える2025年の患者数は700万人前後に達し、65才以上の実に5人に1人を占めるのではと見込まれている認知症。こうなると特別の人に起こる特別な出来事ではなく歳をとれば誰でも起こりうる身近な病気ととらえた方がよさそうです。私なども他人事ではなく気がついた時は介護される立場になっているのかもしれません。少しずつ記憶を失って、ゆっくりゆっくり遠ざかってゆく病気・認知症を抱えた家族の日常を、悲哀はあっても悲惨でない普通の光景として描いた映画がこの『長いお別れ』です。かなり重いテーマなのに、じんわりと心が温かくなりました。

    とにかく蒼井優・竹内結子・松原智恵子・山崎努といった役者さんの好演が光っています。うまくいかない恋や大変な家族のことでつい暗くなりがちな雰囲気を蒼井優のキャラクターがふっと息の抜けた安堵感へと変えてくれます。また、父親役の山崎努の現実の向こう側にいるような超然とした態度や表情、母親役の松原智恵子の気丈でとぼけた味わいなどを引き出しながら、前作「湯を沸かすほど熱い愛」で死を前にした母親の心を取り上げた中野量太監督がこの作品でも人間性への信頼をしっかり描いています。

    失恋で落ち込んだ次女の芙美が「ダメになっちゃった」とつぶやいた時、そばにいた父親の昇平が「くりまるな」と一言、言葉を失った父親が意味不明の言葉を発します。意味は分かりませんでしたが何となく気持ちは伝わってきました。そしてこのチグハグなやりとりが湿った空気をカラリと変えてくれました。さっそく家に帰って調べて見ましたがやはり「くりまる」という言葉は辞書にはありませんでした。「繰り(くり)」からきたどこかの方言かもしれません。この言葉もそうですが認知症の昇平が持ち歩く3本の傘、監督さんの思いが細部へわたるこだわりとして伝わってきます。父親と母親との間にふと訪れる情がかよい合う瞬間だとか、目の前の生活と悩み事で手いっぱいの姉妹の間で交わされるちょっとした会話の中に中野監督のていねいな制作手腕と人への愛情を感じました。全国のシネコンで公開中です。

    posted by: ちあやほーぶん | - | 07:13 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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