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なぜ 時代小説が売れるのか
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    この出版不況の中で「文学作品が売れない」状況が続いていますが「例外的に売れている」ものの一つに「時代小説」があります。戦国時代や幕末動乱を描いた小説は枚挙にいとまがないほど書かれ、しかも売れています。若い作家たちや女流作家たちも次々とこのジャンルに参入しています。こうした時代小説が好まれる理由について前回ご紹介した「街場の読書論」の中で著者の内田樹さんは次のように述べています。

    ― 時代小説がとりわけ選好される理由が私にはわかる気がする。どれほど現代人のような人物造形をしても、社会システムが違う以上、その立ち居振る舞いや理非の決断について「現代人のまま」を適用できないからである。その物語世界では私たちにとって異邦的な制度(主従関係や士道倫理)がリアルであり、私たちがもう忘れたもの(夜の底なしの闇や足をとられるぬかるみ)が切迫するところを書かなければならない。読者たちは、そこで現実とは違う世界にしばらくの間、身を浸すことができる。そこからつかのまの解放感を得ているのではないか。私はそんなふうに考える ― 

     

    作家・あさのあつこさんの作品はあのベストセラーとなった「バッテリー」から読み始め、こうした時代ものシリーズも楽しみにしています。彼女の時代小説「闇医者おゑん秘録帖」や「燦」シリーズ、「花亭」「かわうそ」などは殆ど読んでいて、この「おいち不思議物語り」シリーズも「桜舞う」「闇に咲く」に続いてこの「火花散る」を読みました。

    江戸を舞台に町医者で蘭方医「藍野松庵」の娘「おいち」を主人公にした人情ミステリーシリーズ。この世に思いを残して死んだ人の姿が見える猊垰弋弔頁塾廊瓩鮖つ少女・おいち。貧しくとも互いに助け合いながら送る江戸庶民のつつましやかな生活や優しい心根が伝わってくる物語りの数々です。もちろんノンフィクションのミステリー、しかも肩のこらない展開ですので一気に読み終わってしまうというのが毎回の繰り返しです。内田先生も指摘していましたが、読者である私たちは現実とは違うもう忘れた世界に浸りつつ、つかの間の解放感に満足しているのかもしれません。

    posted by: ちあやほーぶん | - | 07:17 | comments(0) | - | - | - |